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映画に観る環境問題 2「種まく旅人~みのりの茶~」

共感呼ぶ有機栽培茶づくり奮闘記

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大分県臼杵市に実在する有機茶栽培農家(株式会社 高橋製茶)の畑を舞台に有機茶の栽培に向き合う若者の奮闘を描くドラマである。

森川製茶は有機茶に切り替えてはじめての収穫を迎えた。そこへ孫娘のみのりが訪ねてくる。みのりはアパレル・メーカーのデザイナーだったが、デザイン部門を中国に委託するということで解雇されたばかり。一方、身分を隠してあちこちの農家を訪問して手伝い指導している農林水産省官房企画官の大宮金次郎は臼杵市農政局長に赴任する。

早速旧知の農家森川を訪ねる。ここで3人の出会いがあってストーリーは始まる。翌日高年の森川は心臓発作で倒れる。みのりは畑を放置できないので茶づくりに取り組むことになる。金次郎は身分を隠したまま夕暮れになるとみのりの畑に赴きみのりにアドバイスを始めるが、映画全体の狂言回しでユニークな存在である。毎日のように雑草と格闘する仕事が続く。製茶場での加工のおいしさへの挑戦もある。有機茶を始めた資金の融資の返済、近所の人々との付き合いなど悩みは尽きない。

もう一人、みのりへの支援者が現れる。市農政課の職員で学校給食への有機農産物の導入を研究している木村卓司である。有機農業に消極的な上司とのせめぎあいもある。金次郎にも局長としての農薬推進の業務もある。部下の木村と顔を合わせるわけにはいかない……。

困難を乗り越えた喜び、手作りへの感動、日本の地域の片隅での努力が実を結んでいく、清々しさの残る作品である。欧州では有機農業は日本の10倍以上になっている。病院の食事と学校給食への導入がその国の有機農産物の普及をリードしてきた展開があるが、木村の研究成果が市長表彰を受ける終幕も心地よい。この映画のために製作委員会が組織され、臼杵市をはじめ、農水省、農業の盛んな大分県の後援があり、多くの人々の協力が見られた。食卓には有機栽培の農産物が一つや二つは並ぶようにしたいものである。

監督は塩屋俊。農業の課題を取り上げるシリーズの第一作であるという。みのり役は大河ドラマ「平清盛」に出演している田中麗奈、大宮金次郎は陣内孝則。2012年公開。

(文:緑川)